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【病院だけじゃない】理学療法士の私が経験した「働く場所」3選

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学生のキモチ

「理学療法士って患者さんとリハビリをするから、病院とかクリニックで働くのが基本なんだよね?他に活躍できる場所ってあるのかな?」

このようなお悩みに答えます!

理学療法の対象は主に患者さんであるため、患者さんが来る場所(病院やクリニック)で働くことが基本です。

ただ、最近は医療や介護に関する知識を別の分野で活かしたり、理学療法+別の学問を学ぶことで、理学療法士の希少性を見出す人も出てきました。

手前味噌ですが、かくいう私もその一人です。笑

私がこれまでの経験をもとに、理学療法士が活躍できる場所についてお伝えします。

ちなみにこの記事を書いている私(@omusubi09sg)は、下記の経歴の持ち主です。

  • 現役理学療法士15年目
  • 患者さんのリハビリから、研究、自治体との協働、企業コンサルなど幅広い業務経験あり
  • 理学療法学だけでなく、疫学や公衆衛生学、予防医学にも精通(医学博士保有)
この記事は5分程度で読み終わります。
5分後には、理学療法士としてのあなたのキャリアの選択肢が広がります。

それでは、本文にいきまっしょ〜!

結論:理学療法士の働く場所は病院だけじゃない


結論から言います。理学療法士として働く場所は病院だけじゃないです。

一昔前までは、病院・施設・クリニックでの勤務が大半を占めていましたが、いまでは理学療法士の「知識」や「技術」を活かして、異業種で活躍している人が増えてきました。

もちろん、患者さんを良くしたい!というモチベーションで理学療法士になった方が大半なので、臨床業務を軽視するつもりは全くありませんし、私も臨床大好きです。

でも、ふと思ったんです。

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20代の私

60歳になっても臨床で患者さんとリハできるのかな…?(体力的にキツそう)

と。

私は学生時代から腰痛持ち(椎間板ヘルニア)で、一時期はベッドから起き上がれず、このままでは卒業できないかもしれないくらいの状態でした。

20代の頃は私よりも体格の大きい方や、起き上がり・歩行などが全介助の方のリハビリも難なく行えていましたが、30代になってから体力の衰え(+怠惰な生活習慣)により、朝から晩まで1日中患者さんのリハビリを行うと、家に帰ってバタンキューの状態でした。。。

ちょうど、結婚や子どもが生まれた頃に、今後のキャリアや働き方について真剣に考えるようになって、色々とチャレンジを重ねてきました。

ここからは、私が実際に経験した働く場所について、どんなことをやってきたのかを具体的に説明します。

私が経験した働く場所:①病院(PT x リハビリテーション)


まずは王道からいきましょう。

病院における理学療法士は

  • 患者さんとのリハビリ
  • 家族への介護指導や家屋評価
  • 資料や書類の作成(患者さんの自主練メニューや計画書など)
  • 他職種との連携(情報共有)

の他に、

  • 委員会への参加(感染委員会や教育委員会など)
  • 部内の係活動(勉強会係や物品管理係など)
  • 学会発表や勉強会の実施、参加

など、臨床だけでなく幅広い業務があります。

病院によって様々かと思いますが、日中は基本的に患者さんとのリハビリを行い、隙間時間を使って資料作成などその他の業務を行うような感じが(医療業界では)一般的です。

ですので、ある程度経験年数を重ねると臨床以外の業務も増え、自ずと残業時間も増えることが多いです。
(その分、役職がついたり昇給したりで給料も増えますが)

私は一般病院で10年以上勤務してきました。

ざっと年数ごとの業務を整理すると

新卒〜2年目
  • 臨床メイン、最初は先輩と一緒に介入し、自立したら一人で介入
  • プリセプターとして後輩指導にもあたる
  • チーム制を取り入れていたので、チームリーダーとして自分の担当患者だけでなく、チームの担当患者の情報も把握
3年目〜5年目
  • 臨床もやりつつ、管理業務の割合が増える
  • 複数の後輩指導を行いつつ、病棟の患者全体の状態や退院までのスケジュールなどを把握し、適宜担当者とコミュニケーションをとる(よく1on1やってました)
  • 他職種にリハのことを良く知ってもらうために、飲み会に参加しまくる
6年目〜9年目くらい
  • 学会発表、論文執筆、講演など学術活動が盛んになる
  • 自治体やNPO法人と協働して、地域住民の介護予防に関する取り組みを行う
  • 病棟スタッフ全体のマネジメントや経営管理も行う
  • 同期や近しい先輩が課長、部長クラスになるので、話を進めやすい
10年目以降
  • 非常勤勤務となり、後輩の臨床同行+アドバイスを行う

といった感じです。

私は回復期病棟が新設される時に入職したので、結構早めに役職がついたと思います(臨床3年目で副主任兼病棟リハ責任者でした)。

中には臨床10年目以上でも臨床業務をバリバリやっている人もいますし、臨床には入らず対外的活動(地域連携や学術活動)がメインになっている人もいます。

このように、知識技術の向上、対外的スキルの獲得、マネジメントスキルの獲得、経営的な視点をもてる、院外でも有名になる、などなど、病院で得られることはたくさんあります!

あなたは、病院でどんな業務を行ない、どんなスキルを身につけたいですか?

私が経験した働く場所:②大学(PT x 研究者)


次は「研究者」という立場で勤務する場合について説明します。

大学や研究機関(〇〇センター、〇〇研究所など)で働く場合、

  • 自身の研究テーマに沿った研究、学会発表、論文執筆
  • 配属された研究室が取り組んでいる共同研究などのお手伝い
  • 学部生や院生に授業を行う

といった業務内容が主になります。

基本的には配属された研究室の研究テーマに関連するものを、自身でも研究していくような感じです。

研究と一言で言っても

  • 研究計画を組み立てる
  • 共同研究の場合、契約書や協定書などを取り交わす
  • 必要なデータを収集する
  • 研究結果を報告する(学会発表や論文)

など、研究の規模によってやることは様々です。

病院で働く場合と大きく異なるのは、業務内容だけでなく労働時間もです。
大学や研究機関の場合、多くは「(専門業務型)裁量労働制」という枠組みで働くようになります。

引用:裁量労働制の概要.厚生労働省

要は、1日8時間働いたと「みなして」給料が支払われる仕組みです。
具体的には、朝8:00〜19:00まで働いても、11:00〜16:00まで働いても「8時間勤務した」とみなされるということです。

裁量労働制のメリットは、自分で時間の使い方をコントロールできることです。

一方、自分に与えられたタスクを遂行できていないと、周りから冷たい目で見られます。
また、基本的には土日祝日がお休みのところが多く、有休消化などの福利厚生がしっかりしているのも特徴です。

私は、研究機関に所属していたときは上記の業務を実施していました。
自分で時間を管理できるのは、自分のペースで仕事ができる点で非常に働きやすいと感じていました。
もちろん、論文執筆や報告書の作成が重なる時期があるとかなり忙しいですが、一年中大変だ〜ということはないです。

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学生のキモチ

研究機関に配属されたら臨床はできないの?

いえ、可能です!
中には、研究機関に併設されている病院に週1日出向してリハビリを行っている方もいます。
私の場合は、兼業が許可されていたので週1日訪問リハで非常勤として勤務していました。

研究に重きを置きつつ、多少は臨床もやりたい方にとっては非常に働きやすく、自己実現を達成できる環境と言えます。

私が経験した働く場所:③企業(PT x コンサルティング)


最後は企業で働く場合です。
最近はヘルスケアに関する事業を展開している企業が増えてきています。
スタートアップ企業だけでなく、上場している大手企業でもヘルスケア部門が新設されたりと、国民の健康や予防といった社会課題を解決するぞ!というミッションを掲げている企業の求人もよく見るようになりました。

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学生のキモチ

会社で働く理学療法士のイメージがわかないんだけど

こう思われる方は少なくないですよね。

企業での理学療法士の活躍場面は少し視点を変える必要があります。

具体的には、

  • 医療や介護に関するドメイン知識を活かす
    • コンサルテーションや事業開発
  • 研究に関するドメイン知識を活かす
    • 自社製品の有用性に関する研究や効果検証
  • 疫学や公衆衛生学のドメイン知識を活かす
    • ビッグデータの解析や公的データ利用に関するコンサルテーション

といった領域が該当します。

もちろん、一般職と同様に営業部に配属されたり事務職員として勤務することもあり得ます。

しかし、せっかく身につけた専門性を活かすのであれば、先に提示した3項目に関する業務がおすすめです。

私の場合、

  • 医療や介護に関するドメイン知識  →  病院勤務時代に身についた
  • 研究に関するドメイン知識を活かす  →  大学院で身についた
  • 疫学や公衆衛生学のドメイン知識  →  大学院で身についた

といった形です。

正直なところ、学生時代は研究好きじゃなかったし、大学院に進学するなんて微塵も思っていませんでした。

ただ、目の前のチャンスにひたむきにチャレンジしていった結果、今の私があると思いますし、これまでの経験が自然と繋がってキャリアが拡大していきました。

私が勤めていた上場企業は博士号を持っている社員がほぼゼロだったので、研究方法や考え方、データ解析の仕方などの相談をかなり頻繁に受けました。

また診療報酬や介護報酬のことや、加算の取り方、どんな疾患の患者さんがどれくらいリハを受けているのか、そもそもリハビリっていつまでやるのかなども根掘り葉掘り聞かれた思い出があります。笑

働き方や福利厚生も、病院勤務の時より充実していました。笑

裁量労働制を適用している企業も多いですし、リモートワークを推奨しているところも今ではかなり多いです。

私は、オフィスが遠方だったので基本的にフルリモート(家で仕事)でした。

途中、中抜けして息子の学校送迎したりもしていました。

あぁーこんなに自由に仕事できるなんて夢みたいだ。

とも思っていました。

もちろん良いことばかりではなく、働きにくい点もありました。

それは、「成果主義」であり、利益を追求する姿勢が私にはあまりフィットしませんでした。

医療ってサービス業ですし、研究も一定のノルマが課されているところもありますが企業は慈善事業ではないで、利益を出す必要があります。

これが上場企業になるとなおさらです。事業の実績や将来性によって株価が変動するため、常に挑戦するストイックさが求められます。

医療現場で命を扱うのとは別のプレッシャーがあります。

それでも病院や研究機関では得られない多くのスキルを活かし、学べる場であることは確かです。

まとめ:医療業界だけでなく、他の世界に視野を広げてみよう

いかがでしたか?

なるべく詳細に自身の経験を記したので、この記事を読んでくださったあなたが、色々な場所で働くイメージ少しでも湧いてくれたら嬉しいです。

臨床の枠に捉われず、理学療法士としての強みは何か?というのを掘り下げていくと、活躍できる世界はたくさんあります。

別記事でそれぞれの場所で働くことのメリットデメリットも書きたいと思います。

以上です。最後までお読みいただきありがとうございました!!^ ^