臨床・研究・教育

【理学療法士が持つべき】論理的思考能力の鍛え方

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あなた

「論理的思考能力が大事って言うけど、どうやって身につけるの?」

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あなた

「わたし文系だから論理的思考は苦手〜」

このようなお悩みに答えます!

理学療法は言うまでもなく、観察された現象に対して原因を究明し、対処(介入)するという一連の流れを総称しているため、物事を論理的に考える能力が求められます。

しかし、「論理的思考力の鍛え方」を系統だてて学んだことのある人はかなり少ないのではないでしょうか?

この記事では、理学療法士が持つべき論理的思考力の鍛え方について詳しく解説します。

ちなみにこの記事を書いている私(@omusubi09sg)は、下記の経歴の持ち主です。

  • 現役理学療法士15年目
  • 臨床の疑問から研究に興味を持ち、学会発表経験豊富
  • セミナーや院内研修でも「説明が分かりやすい」と高評価
この記事は5分程度で読み終わります。
5分後には、理学療法士としての論理的思考能力の鍛え方がわかります。

それでは、本文にいきまっしょ〜!

論理的思考能力の重要性とは?

理学療法士にとっての論理的思考

理学療法士は、患者の身体機能や日常生活動作能力、生活の質(Quality of Life: QOL)を改善するために、科学的根拠に基づいた介入を行う必要があります。

そのため、論理的思考力は不可欠です。

論理的思考力を持つことで、患者の症状を正確に分析し、効果的な治療方法を選択することができます。

また、比較的若い方や認知機能が保たれている方であれば、「自分はいまどんな状態なのか」「どこが悪いのか」「どうすれば今より良くなるのか」ということに関心があるのは言うまでもありません。

これらの状態に対して論理的に考えることで、患者さんに対する説明も分かりやすいものになります。

文系脳でも大丈夫!

なかには「わたし文系脳だから論理的思考は苦手」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、論理的思考力は特定の学問背景に依存するものではありません。

誰でも適切な方法で訓練することで身につけることができます。苦手意識があるのは「論理的思考に関する十分な教育を受けていないから」ということが大きな要因の一つだと思います。

理学療法士界隈では、一部経験則も重要な判断材料であると言われている中、そのことに紛れて「なんとなく分かるっしょ、論理的に考えればいいんだよ」みたいな教え方をしてきたベテランPTも少なからず存在します。。。

あなたが悪いのではないんです!
そんなヘナチョコな教え方をしてきた人、または誰も教えてくれなかった環境が悪いんですっ!

論理的思考力を鍛える方法

1. 数字を使って表現する

論理的思考力を鍛えるためには、できるだけ数字を使って物事を表現するよう心がけることが大切です。

例えば、患者の症状や改善具合を定量的に表現することで、客観的な判断がしやすくなります。以下のように練習してみましょう。

  • 患者の痛みを「痛みスケール」を使って数値化する。
  • リハビリテーションの進捗を具体的な数値(例:関節可動域の度数、歩行距離など)で記録する。

もう一歩踏み込むと、その数値は何と比べるとどれくらいのインパクトなのか?を考えてみるといいです!

例えば、10m歩行は歩行補助具を使わないと14秒でしたが、装具を使って歩くと11秒でした。

といったような感じです!
上記は、装具の有無で10m歩行時間を比べています。上記を患者さんに伝えたうえで、装具の有り/無しで何か歩き方や歩きやすさなどに変わりはありましたか?
などと掘り下げていくのもよいです!!(歩行時間を伝える前に聞くのもアリです)

2. なぜなぜ分析をする

「なぜなぜ分析」は、問題の原因を深掘りするための方法です。理学療法士として、患者の症状の原因を明確にするために、なぜなぜ分析を活用しましょう。以下の手順で行います。

  • 1. 患者の症状について「なぜその症状が出ているのか?」を質問する。
  • 2. その回答に対して再び「なぜ?」を質問する。
  • 3. これを繰り返していくことで、根本原因を突き止める。

以下はなぜなぜ分析の一例です。

観察された現象:(大腿骨頚部骨折の患者さん)朝一番に歩く時だけ膝折れが出現する

なぜ?①:朝は体が硬い(とくに患側下肢)

なぜ?②:ベッドで仰向けになる際、患側の膝が浮いている

なぜ?③:ベッド上の臥位がリラックスできる姿勢ではない

なぜ?④:ポジショニングの指導は行われていない

のような感じです!
これで行くと、ベッド上のポジショニング(膝下にクッションなどを入れてあげる)を行うことで、観察された現象が改善される可能性がでてきます。

これで改善されればOKですが、改善されなかったときは、「なぜ?」をまた考えます。
これを仮説検証のプロセスとも言います。

3. 迷路やプログラミングの考え方を取り入れる

迷路を解くような考え方や、プログラミングのロジックを取り入れることで、論理的思考力を鍛えることができます。

迷路を解く過程では、複数の選択肢を比較しながら最適なルートを見つける必要があります。

プログラミングでは、問題を細かく分解し、順序立てて解決する能力が求められます。

4. 仮説と検証

理学療法士として、患者の症状に対して仮説を立て、その仮説を検証するプロセスが重要です。仮説と検証を繰り返すことで、論理的思考力を鍛えることができます。以下の手順で行いましょう。

  • 1. 患者の症状に対して仮説を立てる(例:この症状は筋力低下が原因である)。
  • 2. その仮説を検証するための評価を行う(例:筋力テストを実施)。
  • 3. 検証結果に基づいて仮説を修正する。

日常生活での実践方法

具体的なケーススタディ

日常生活や職場で、具体的なケーススタディを通じて論理的思考力を鍛えましょう。以下のような練習を行います。

  • – 患者の治療計画を立てる際に、論理的なステップを踏む。
  • – 同僚や上司とディスカッションを行い、論理的に意見を述べる練習をする。

読書と学習

論理的思考力を鍛えるために、関連する書籍や資料を読むことも効果的です。

論理的思考に関する書籍や、科学的な論文を読むことで、論理的な考え方に慣れることができます。

まとめ

論理的思考力は理学療法士にとって重要な能力です。しかし、特定の学問背景に依存するものではなく、誰でも訓練によって身につけることができます。

数字を使って表現することや、なぜなぜ分析、迷路やプログラミングの考え方、仮説と検証など、さまざまな方法を取り入れて論理的思考力を鍛えていきましょう。

これによって、患者に対する評価や治療計画の精度が向上し、より効果的な治療が提供できるようになります。